2008年10月14日 入院中の親の会 配布資料

このページの文章は、2008年10月14日に順天堂医院内の「入院中の親の会」で配布されたプリントの転載です。

元のプリントのPDFはこちら(3,939KB)です。

小児がんの子どもたちの栄養について(特に、入院治療における病院食の重要性について)

入院治療を受ける子どもたちにとって、栄養管理も大切な治療の一環であることが、近年再認識されてきています。医療の進歩により 小児がんは治癒する病気になってきましたが、一方で長期入院中に習慣化した偏った食事や運動不足などが、退院後の生活に大きな影響を 与え、生活習慣病の発症に関与することが危惧されるようになってきました。

小児がんの子どもたちにおいて、適切な栄養は子どもたちの基礎免疫力を向上させ、手術、放射線療法や化学療法に対する抵抗力を 保持し、治療に伴う感染症などの合併症を減少させることが明らかになり、治癒率の向上につながると考えられるようになっています。


入院はこれまでない生活を子どもたちやご家族に強いることになります。長期の入院治療において、ご家庭での食事が継続できれば、 子どもたちにとってはとてもうれしいことだと思います。しかし、残念ながら毎日の食事を家庭で作り持ち込むには無理があり、免疫力 が低下している子どもたちにとっては食中毒になる危険性が高まります。さらに、持ち込み食では栄養価の評価が難しく、栄養状態を 把握するのが大変困難となります。入院中の食事は家庭での食事とは異なりますが、治療を行っていく上でも、また子ども自身の成長の ためにも大変重要なものなのです。

子どもたちにとって、治療のほとんどは主体的な立場ではなく受身の立場ですが、食事をとることは子どもたち自身ががんばらなければ できないことです。つまり、食事は子どもたちががんばることで主体的に病気と闘える治療のひとつとも言えます。このことは子どもに とって病気と闘うことへの自信にもつながります。子どもたちのがんばる環境を作り、支えることは、ご家族や我々医療従事者にとって 大切なことだと思います。


子どもたちは入院中も日々成長しています。適切な栄養管理や食習慣は、治療期間のみならず、原疾患が治癒したあとにも生涯にわたり 大きな影響を残すものです。病気を治すことばかりでなく、治ったあと健やかに成長できるよう食習慣を含めた正しい生活習慣を続ける ことが重要なのです。そのためにはご家族のご理解、ご協力がぜひとも必要です。

入院中の食事についてご理解いただき、明日からのお子様のがんばりを支えるアドバイスとなれば幸いです。



順天堂大学小児科・思春期科

血液腫瘍グループ

ご家族の皆様へのお願い - 食事についてのご案内

このたび小児がんの治療のため入院治療を行うにあたり、治療の一環として大切な食事についてご説明いたします。不明な点など ございましたら、ご遠慮なく担当医・病棟スタッフにお尋ねください。


【入院中の食事について】

  • 入院中は病院食をおとりください。外泊・外出中は、病院内外の食堂での食事も可能です。

【持ち込み食について】

  • 入院中食べ物の持ち込みは禁止です。売店で購入したお弁当類の持ち込みも禁止です。ただし、土曜・日曜日の昼・夕食については、 主治医が許可したお子様について、持ち込みの食事を許可いたします。売店で購入したものも許可いたします。
  • 持ち込まれた食事は、家族休憩室でお取りください。当院は小児がんの子どもたち以外にもたくさんの病気の子どもたちが入院し 治療を受けられています。それぞれに食事の制限は異なります。他の患者様へのご配慮をお願いいたします。
  • 持ち込みの食事をした際は、どのような食事をどれほど食べたか、必ず看護師にお申し出ください。
  • 持ち込まれた食事に手をつけなかった場合は、お持ち帰りください。
  • 開封した飲み物、食べ物は21時までに、パントリー内ゴミ箱に全て破棄してください。残っているものはこちらで破棄いたします。
  • 同室の患者様同士での食事のやり取りはおやめください。
  • 他の人の食事が気になるようであればお申し出ください。
  • お菓子の持ち込みは、小学生以下は禁止とさせていただきます。

【病院食の変更・調節について】

  • 年齢、栄養状態、疾患、治療内容で、病院食の変更・調節が可能です。
  • 食欲不振時、栄養補助食品(高カロリージュース、ヤクルトなど)をつけることができます。お申し出ください。
  • アレルギーのあるものは除去できます。
  • 主食については、変更・調節(例えば、麺のみにする・朝食のみパンにするなど)が可能です。
  • 口内炎がある時には、しみない食事をご用意できます。お申し出下さい。
  • 化学療法中は味覚が変わります。化学療法中の味覚に適した食事をご用意できます。お申し出ください。
  • 食事の際の副食としての、ふりかけ・のり・納豆などや、薬を内服するための、ジュース・ヨーグルト・ごっくんゼリー などは、医師の許可があれば、病棟内に預けることができます。お申し出ください。

【その他】

  • 付き添いの方、面会の方の食事は家族休憩室でお願いします。
  • 入院・通院に関わらず、治療を受けられている間は、生の魚貝類はおやめください。生肉についてもお控えください。

入院後、栄養課による入院前の食事調査があります。今後の治療を進めていく上で大切になる入院中のお子様の食事について 検討する大切な資料となります。ご協力よろしくお願いいたします。また、その際にもご希望やご不明な点がございましたら 遠慮なくお申し出ください。


治療が順調にすすみ、早く良くなり退院を迎えられるよう、一緒にがんばりましょう。



順天堂大学小児科・思春期科

血液腫瘍グループ

化学療法中に注意を要する食品 =食中毒の危険性が高い食品

どうして食べ物に気をつけなくちゃならないの?
→化学療法中に食中毒を起こすことで、大切な治療が延期や中止になることがあるからです。


現在のところ、治療中の食事に関する世界的に統一された明確な基準はなく、病院ごとに基準を設けている状態です。 (ただし、骨髄移植の様により強い免疫力の低下が予想される治療については、世界的な基準があります。)ここでは、 当院で禁止している食品と、一般的に注意を要するといわれている食品を紹介します。

当院で化学療法中に禁止している食品

  1. 生肉:生ハム、ユッケ
  2. 生魚:すし、さしみ、いくら、生たらこ、生貝

化学療法中に注意を要する食品

  1. 生卵(サルモネラ菌が卵の殻に付いていることがある)
  2. チーズ(カビを含んだ):ブルーチーズ、カマンベールチーズ
  3. シロップ:蜂蜜、メープルシロップ
  4. 賞味期限、製造過程や保存状態が不明瞭な食品:屋台の食べ物、コンビニ弁当、ファーストフードなど
  5. 皮ごと食べる生の果物:イチゴ、ラズベリー
    (洗浄が不十分となることがあるため。
    皮をむいて食べるぶどう、りんご、バナナなどの果物はより安心。
    イチゴなどが食べたいときは、加熱処理して作られたもの、ジャムやゼリーなどで代用するのも良い。)
  6. 開封後、調理後2時間以上経っているもの
    (お菓子、ドライフルーツ、おつまみ、のりなどは、小分けに包装してある物を選ぶと良い。)


表2●代表的な菌の耐熱性
微生物 加熱温度(℃) 死滅に要する時間(分)
ボツリヌス菌
100
360
サルモネラ菌
60
4.3~3.0
大腸菌
57
20~30
ブドウ球菌
60
18.8
腸炎ビブリオ菌
60
30
(高野光男, 横山理雄:食品の殺菌. 幸書房, 東京, 2003. より作成)


順天堂大学小児科思春期科

血液腫瘍グループ

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